『図形感覚をはぐくむ くろくまくんの たんぐらむえほん』
字が上手に書けない。そんな悩みがあるなら、タングラムで遊ぼう!
小学校の特別支援学級を担任していて、子ども達がまずつまずくのが、『書くこと』であることが多いと感じていました。
ひらがなが覚えられない。
覚えているけれど、上手く形をとることができない。
漢字が書けない。
一画足りなかったり、交わる角度がおかしくて、読みにくかったりする。
特に、「さ」や「き」など、1画目の横線と2画目が、直角ではなく、少し倒れた45度~60度くらいで交わるのが、どうしても書けないという子を何人も見ました。
子どもにとって、直角や平行は理解しやすいのですが、角度がついた2つの線が交わるということは、一段レベルが高い事なのです。
楽しみながら図形感覚を身につけよう
そんな子ども達には『タングラム』をさせるようにしていました。
シルエットだけを見て、見えない線をイメージし、パーツを配置する『タングラム』は、図形感覚をはぐくむことに、ぴったりだからです。
今回オススメする絵本は『図形感覚をはぐくむ くろくまくんの たんぐらむえほん』です。
この絵本、ただ『タングラム』の問題が並んでいるのではありません。主人公のくろくまくんが、色々なところに行って、タングラムでできた物に乗ったり見たり遊んだりします。
ストーリーがあるのです。
絵本には、タングラムのパーツが入っているケースが内蔵されていて、きちんと片付けられるので、ピースを無くす心配もありません。
ピースは7種類ありますが、ストーリーは2ピースで形を作るものから始まるので、図形に苦手意識がある子どもでも、スタートしやすいのも良いところです。
ストーリーがあるからこそ、次はどんなところに行くのかな。次はどんなものに乗るのかな。と、楽しみながらステップアップできます。
遊び始めてすぐの頃は、実寸大の枠の中に、実際にピースを置いてみながら、試行錯誤して答えを考えていました。けれど、何度も繰り返し遊ぶうちに、枠の形と持っているパーツを眺めて、パーツの切れ目の『見えない線』をイメージしてからパーツを置くようになっていきました。
ピースには三角形や平行四辺形、台形などもあるので、直角だけでなく、斜めの線をイメージする感覚が身についていきます。
『タングラム』は、図形感覚、集中力、想像力を身につけられるだけでなく、ひらがなや漢字を書く力の土台となるのです。
見えない線を想像する力を身につけて、字を上達させよう。
「字が上手に書けない」という1つの事でも、その原因は様々です。
鉛筆が上手く持てないから。
筆圧が弱いから。
視覚に欠けがあって、認識する事ができないから。
など。
図形感覚が育っておらず、形を再現できないから。
というのも、その原因の1つです。
字が上手に書けない困り感があるなら、ぜひ、一度試してみて欲しいと思います。
絵本を通して、子どもと遊ぼう!学ぼう!
追記:
くもん出版の方から、「本書は品切れ・重版未定商品」との連絡を受けました。また、「タングラムの商品は他社を含め数多く発売されているものの、本書では本という形であるからこそストーリーもあり、それがご指摘のようなスタートのしやすさに繋がっているかと存じます。これから入手するのは難しいかもしれませんが、書店等でお見掛けになった方には試していただければ幸いです。」と、メッセージをいただきました。