『きょう、おともだちができたの』
友達がいれば、日常に色があふれる
みなさんが子どもの頃、何を楽しみに保育園や学校に行っていましたか?
今回、紹介するのは『きょう、おともだちができたの』という絵本です。
はずかしがりやのゆうなちゃんは、ともだちがいません。
灰色の世界にぽつんと1人、地面に落書きをして過ごしています。
そこに、「遊ぼう」と声をかけてくれた子がいました。
楽しい1日が過ぎていきます。
すると、灰色だった、ゆうなちゃんの世界に色があふれていきます。
登校するのを渋る子どもの気持ち
教員時代。朝、登校するのを渋る子どもに出会いました。
その子は、勉強がわからないことで自信を無くしてしまい、「授業を聞いてもわからないし」「宿題やってないし」「やってもわからないし」と、全て諦めてしまっていました。
また、様子をよく観察していると、一人で行動する事も多く、友達との関係が希薄な事も伺えました。
子どもは、自分らしくいられる場所では安心して過ごす事ができます。
登校渋りしていた子は、4月になり、クラスがかわると1人の男の子に声をかけてもらいました。
(「休み時間、みんなで一緒に遊んでおいで~」と言うと、「○○くんも行こう!」と、声をかけてくれた子がいたのです。)
それがきっかけとなり、休み時間に友達と一緒に遊べるようになると、学校を嫌がる事が減りました。
同時に、学習面でのフォローをスタートしました。
自分の居場所ができたことで「勉強も、自分のわかるところからやってみよう」と思えるようになり、苦手だった漢字を少しずつ覚えたり、得意な算数は発表したりもできるようになりました。
そうすると、更に自信がついて、友達との遊びも活発になりました。
まさに、心を開ける『一人の友達』ができた事で、登校渋りをしていた子どもの世界に色があふれてきたようでした。
絵本では、夜になると「明日も遊んでくれるかなぁ」と不安になり、あふれていた色が消えてしまうシーンもあります。
登校渋りをしていた子どもも、「急に毎日が上手くいく」というわけではありませんでした。
友達の言葉を気にして不安になったり、友達が休んでいる日は元に戻ってしまったりということもありました。
けれど、一人の友達がいてくれると、そこから友達の輪が広がって、何人かと話したり遊んだりできるようになっていきました。
友達が増えるほど、気持ちが安定していく様子がみられました。
「心を開ける人」の存在
私自身も高校時代、不登校の経験があります。
その時の事を考えると、「学力の不安がかなり強くあったなぁ。(進学校だったので、かなり難しい問題が日常的に課題に設定されていました)」「一緒に過ごす友達はいたけれど、心を開ける友達はいなかったなぁ。」と思います。
休んで心配してくれる子や、話を聞いてくれる子がいたら。そんな関係を築けていたら、学力で不安があっても、少し違ったかもしれません。
私の場合は、自分が傷つくのが怖くて、人に合わせてばかりだったから、相手も壁を感じていたのでしょう。
寄り添ってくれる人がいるということが、どれだけ心強いか。
大学生活を楽しく過ごせたのは、『心を開ける人』ができ、自分の居場所が安定したからだと思います。
絵本は勇気をくれる
子どもが学校や保育園に安心して行くには、「友達」の存在が欠かせません。
教師も、毎日一人でいる子がいたら、「一人でいるのが好き」なのか「友達といたいけど声をかけられない」のか、様子を観察しています。
気が合いそうな子に、そっと「遊びに誘ってみてくれる?」と声をかけたりもします。
もしも登校・登園渋りなどの傾向が出たら
①友達との関係で悩みはないか。
②家は安心できる場所か。(親と離れてることに不安を感じる、母子分離不安の場合もあります。赤ちゃんが生まれた直後などはこの傾向が出やすいです。)
③学校の場合、学習面で不安はないか。(親がフォローしやすいポイントです)
この3つを確認してみたら良いと思います。
友達との関係作りで悩んでいたら、なかなか親がフォローするのは難しいです。
けれど、クラスには何十人も子どもがいるので、一人は気が合う子どももいると思います。
もし子どもに「話しかける勇気」が無いのであれば、絵本の力を借りましょう!
「一緒に遊ぼう」の一言で、世界に色があふれる絵本を読んだら、勇気を振り絞って声をかけられるようになるかもしれませんね。
4月のタイミングが良いですが、運動会や音楽会、校外学習(バス遠足)なども、良いきっかけになります。
行事の多い、この時期にも、子どもに読んであげるといいですよ。
「学校に行く」のが正しい道とは限らない。
私は、結局、高校2年生の時に中退しました。
でも、同じように悩みを抱えている子どもに寄り添える教師になりたくて、高卒資格認定試験を受けて単位を取得し、大学に現役合格しました。
当時の不登校に関する情報は「登校できないまま、ひきこもりになってしまった」など、ネガティブなものばかりでした。
しかし、家族が、「私自身を見て」信じて待ってくれたので、自分で目標を見つけて動き出すことができたのです。
高校生活はできなかったけれど、違う視点を得ることができ、無駄な時間ではなかったと思います。
みんなと違う道を選択するのは勇気の必要なことです。
けれど、高校に行けていたら、きっと今の私は無いでしょう。
不登校を「無駄なこと」「ダメなこと」と思わず、我が子の『自分らしく生きていく力』を信じてあげて欲しいです。
絵本を通して、子どもと学ぼう!
私の不登校体験記はこちら!↓