『ことばとふたり』
子どもが「気持ちを言葉で表現できる」ことは大切。
では、話すことができない子とはどう関係を作るの?
言葉はすごく便利です。
今ままでにも絵本の紹介の中で、「気持ちを言葉で表現できる子どもに」と、何度も何度も書いてきました。
自分の気持ちを言葉にすることができると、他の人とのコミュニケーションが円滑になります。
怒りの感情をぶつけなくても、解決策を考えられるし、感謝の気持ちを言葉にすると、相手にしっかり伝わって、自分も相手も幸せな気持ちになります。
けれど、生まれてすぐの赤ちゃんは、言葉を話しません。
赤ちゃんを目の前にして、「言葉を話せるお兄ちゃん・お姉ちゃん」になった上の子は、どんな気持ちなのでしょうか。
言葉無しのコミュニケーション
今回は、そんな「言葉無しのコミュニケーション」について考えられる一冊を紹介します。
『ことばとふたり』です。
全身毛むくじゃらの生き物がいました。
その生き物は、言葉を知りませんでした。
たのしい、おいしい、あったかい。
そんな気持ちはあるけれど、それを表す言葉を知らなかったのです。
ある日、言葉を知らない生き物は、かなしくなりました。
グググググググと声を出して、目には涙が光っていました。
そこに、言葉を知っている生き物がやってきて・・・
そこに言葉がなくても通じる「気持ち」
私たち親は、赤ちゃんの表情や泣くタイミング、泣き声などでなんとなく「今はお腹がすいているんだろうな。」「眠れなくて泣いているんだろうな。」など、予想して関わっていきます。
そのうちに、泣き方で、何をして欲しいのかわかるようになる人もいるほどです。
赤ちゃんからの言葉はなくても、「なんとなく」わかるようになるから不思議です。
また、子ども同士の場合は、更にフィーリングの部分が強く、想像力と表現力で関係を築いていくように感じます。
赤ちゃんが泣いているのを見て、頭を撫でてあげる。
バタバタ手足を動かしているのを見て、一緒にやってみる。
困っていそうな雰囲気を察知して、オムツをクンクンしてみる。→「お母さ~ん!オムツにウンチ出て、何だかイヤそうな顔してるよ!オムツかえてあげて!」と教えてくれたりもします。
言葉を話せない下の子と、それに寄り添う上の子は、まるで絵本の『ふたり』の関係のようです。
次男が成長し、ペラペラと話せるようになった今でも、長男と一緒だと安心するのは、そういう関わりを積んできたからでしょう。
例えでは「赤ちゃん」を出しましたが、話す言語が違う海外から来た方や、耳の聞こえない方などにも当てはまると思います。
言葉は気持ちを伝えてくれるけれど、言葉以上に気持ちが伝わる「行動」もあります。
「人と分かり合うこと」とは。
人と分かり合う時というのは、言葉で伝わる時だけではない。
「心」こそ伝わらないといけないなぁと感じました。
そこに言葉があってもなくても、相手を思う気持ちは、行動となって伝わります。
きれいな言葉を並べても、そこに「心」がなかったら、ただのセリフになってしまいます。
大人になると忙しく、そんな人をよく見かけます。
困っていたら手をさしのべる。
一緒に考える。
気持ちを受け止める。
どれも、言葉だけではなく、そこに心があるからこそ、暖かい気持ちになるのではないでしょうか。
私も、そういう「心」がこもった行動を、自然にできる人になりたいです。
気持ちを言葉で表現できるようになると、コミュニケーションが円滑になります。
けれど、「言葉がないとコミュニケーションがとれない。」は、違います。
「どんな人にでも、どんな時でも、言葉と行動に、心を込めて、人と関われる。」
我が子にはそんな大人に成長して欲しいと感じた一冊でした!
絵本を通して、子どもと考えてみよう!