言葉は気持ちを伝えるのに便利だけど、気持ちのこもっていない言葉はただの「セリフ」になってしまう。心が通い合う関係を作れる人になってほしい!

子どもと遊ぼう/絵本だな////////////////
  1. ホーム
  2. 子どもと遊ぼう
  3. 言葉は気持ちを伝えるのに便利だけど、気持ちのこもっていない言葉はただの「セリフ」になってしまう。心が通い合う関係を作れる人になってほしい!

『ことばとふたり』

ジョン・エガード 文
きたむら さとし 絵・訳
岩波書店

子どもが「気持ちを言葉で表現できる」ことは大切。
では、話すことができない子とはどう関係を作るの?

言葉はすごく便利です。

今ままでにも絵本の紹介の中で、「気持ちを言葉で表現できる子どもに」と、何度も何度も書いてきました。

自分の気持ちを言葉にすることができると、他の人とのコミュニケーションが円滑になります。

怒りの感情をぶつけなくても、解決策を考えられるし、感謝の気持ちを言葉にすると、相手にしっかり伝わって、自分も相手も幸せな気持ちになります。

けれど、生まれてすぐの赤ちゃんは、言葉を話しません。

赤ちゃんを目の前にして、「言葉を話せるお兄ちゃん・お姉ちゃん」になった上の子は、どんな気持ちなのでしょうか。

言葉無しのコミュニケーション

今回は、そんな「言葉無しのコミュニケーション」について考えられる一冊を紹介します。

『ことばとふたり』です。

全身毛むくじゃらの生き物がいました。

その生き物は、言葉を知りませんでした。

たのしい、おいしい、あったかい。

そんな気持ちはあるけれど、それを表す言葉を知らなかったのです。


ある日、言葉を知らない生き物は、かなしくなりました。

グググググググと声を出して、目には涙が光っていました。

そこに、言葉を知っている生き物がやってきて・・・

そこに言葉がなくても通じる「気持ち」

私たち親は、赤ちゃんの表情や泣くタイミング、泣き声などでなんとなく「今はお腹がすいているんだろうな。」「眠れなくて泣いているんだろうな。」など、予想して関わっていきます。

そのうちに、泣き方で、何をして欲しいのかわかるようになる人もいるほどです。

赤ちゃんからの言葉はなくても、「なんとなく」わかるようになるから不思議です。

また、子ども同士の場合は、更にフィーリングの部分が強く、想像力と表現力で関係を築いていくように感じます。

赤ちゃんが泣いているのを見て、頭を撫でてあげる。

バタバタ手足を動かしているのを見て、一緒にやってみる。

困っていそうな雰囲気を察知して、オムツをクンクンしてみる。→「お母さ~ん!オムツにウンチ出て、何だかイヤそうな顔してるよ!オムツかえてあげて!」と教えてくれたりもします。

言葉を話せない下の子と、それに寄り添う上の子は、まるで絵本の『ふたり』の関係のようです。

次男が成長し、ペラペラと話せるようになった今でも、長男と一緒だと安心するのは、そういう関わりを積んできたからでしょう。

例えでは「赤ちゃん」を出しましたが、話す言語が違う海外から来た方や、耳の聞こえない方などにも当てはまると思います。

言葉は気持ちを伝えてくれるけれど、言葉以上に気持ちが伝わる「行動」もあります。

「人と分かり合うこと」とは。

人と分かり合う時というのは、言葉で伝わる時だけではない。

「心」こそ伝わらないといけないなぁと感じました。

そこに言葉があってもなくても、相手を思う気持ちは、行動となって伝わります。

きれいな言葉を並べても、そこに「心」がなかったら、ただのセリフになってしまいます。

大人になると忙しく、そんな人をよく見かけます。


困っていたら手をさしのべる。

一緒に考える。

気持ちを受け止める。

どれも、言葉だけではなく、そこに心があるからこそ、暖かい気持ちになるのではないでしょうか。

私も、そういう「心」がこもった行動を、自然にできる人になりたいです。

気持ちを言葉で表現できるようになると、コミュニケーションが円滑になります。

けれど、「言葉がないとコミュニケーションがとれない。」は、違います。

「どんな人にでも、どんな時でも、言葉と行動に、心を込めて、人と関われる。」

我が子にはそんな大人に成長して欲しいと感じた一冊でした!

絵本を通して、子どもと考えてみよう!