ボクはじっとできない
特別な支援を必要とする子どもが増えている??
私の住んでいる場所はそこそこ田舎です。
私が勤めていた学校や、その周りも、夏になると用水路でホタルが発光しているのが見られるくらい、のどかな場所です。
田舎なので、子どもがどんどん少なくなっていき、1学年1クラスの学校がたくさんありました。
中学校へ行っても、隣の学校(そこも1学年1クラス)と一緒になるだけなので、何とか2クラス(少ない学年だと、合併しても1クラス)というくらい、少子高齢化した地域です。
そんな学校でしたが、特別支援学級は、定員ギリギリの事が多く、担任だった私は、毎日、余裕なく走り回っていました。
特別支援学級に在籍する子どもはもちろん、
特別支援学級に入級しない選択をした、いわゆる『グレーゾーン』と言われる子どもも、通常学級にたくさん在籍していました。
少ない全校生の人数に対し、支援の必要な子どもの割合がかなり多い印象でした。
それは、支援の必要な子どもが増えているのではなく、
『支援を必要としている子どもが見つけてもらいやすくなった』という背景があると思います!
ADHDの子どもが主人公の絵本を紹介します!
この20年くらいの間で、『ADHD』や『自閉症』『アスペルガー』などの言葉が一般的に知られるようになってきて、「聞いたことがある!」という人が増えたように感じます。
今回は、『ADHD』の子どものお話を紹介しましょう。
『ボクはじっとできない 自分で解決法を見つけたADHDの男の子のはなし』です。
ディヴィッドは、じっとするのが苦手。
授業中には、色々なアイデアが思い付いてしまって、試さないといられなくなってしまいます。
「机の はじっこで何回鉛筆をまわせるかな」
「プリンの器を思いっきり握ったらどうなるのかな」
アイデアを思いつくと、何よりも大切だって思ってしまって、他の事には集中できなくなってしまいます。
そして、ガマンできずに行動して、失敗してしまうのです。
担任の先生を怒らせて、授業を中断させてしまうこともしばしば。
そんなある日、先生がディヴィッドの両親と話し合いをすることになりました。
ディヴィッドは、自分で自分の行動をコントロールする方法を、考えて、考えて、考えて、『解決救急箱』を思いつきました。
そして話し合いの場で発表します。
どうしたら、自分の集中力が続くのか。
衝動的な行動が落ち着くのか。
小学校で、実際に取り組まれている内容も載っている、支援を必要とする子どもの理解に役立つ絵本です。
ADHDって何?
特別支援学級には『ADHD』の子どももいます。
ADHDとは、Attention-Deficit / Hyperactivity Disorderの略語で、
日本語では注意欠陥多動性障害や注意欠如・多動症などと訳されます。
集中が続きにくく、衝動的な行動をとってしまうという特性があります。
特別支援学級に入級していない子どもでも、ADHDの子どもはクラスに何人かいるという統計が発表されています。
ADHDと言うと、授業中に走り回ってしまうイメージですが、そうでない場合もたくさんあります。
集中したくても、周りの音が気になってしまったり、考えが浮かんで止まらなくなったり、本人の意思とは別に、体や思考がどんどん刺激を求めてしまうのです。
特別支援学級で行われている環境づくりの例を紹介!!
特別支援学級では、刺激を減らして、学習に集中できる環境を作ります。
ADHDの子どもは「視覚優位・・・視力からの情報が入りやすい」ので、黄色や赤などの刺激の強い服装を控えたり、掲示物を教室の後ろの視覚に入りにくいところに貼ったりします。
更に集中したい場合には、机の周りをついたてで囲うこともあります。
また、音の刺激を減らすためには、イヤーマフというグッズを使います。
※イヤーマフとは、ヘッドホンのような形で、耳から入ってくる音を減らしたり、小さくしたりするものです。
運動会の練習の時期は、ダンスの音楽や徒競走の笛やピストルの音が聞こえると、集中が途切れやすくなります。
そんな時に、イヤーマフは大活躍します。
さらに、衝動的に体を動かしたくなる子どもには、バランスボールの機能がついた「バランスクッション」などを使うこともあります。
バランスクッションに座ると、座りながらバランスを取るために、体を少しだけ動かす必要があり、その小さな動きで衝動性を和らげることができるのです。
『環境+教師の働きかけ』で子どもを伸ばす!
このような環境面での支援に加え、教師の働きかけも工夫をしています。
例えば、集中が切れやすい子どもには、短時間でできる課題をいつくも出します。
大きな課題を一つだと、途中で集中できなくなる子どもでも、一つ一つの課題が短時間で終わるなら、一つ終わった時点で気持ちがリセットされて、次の課題にも集中することができるのです。
このような工夫は、家庭学習でも応用できます。
漢字のノートを1ページと計算20問をするのが宿題だとします。
・タイマーで3分セットして、その3分は集中して書く。(子どもの実態に合わせて、1分・2分など、時間を変えてください)
・タイマーが鳴ったら、途中でも、漢字をするのを止める。
・計算を5問解く。
・5問できたら、またタイマーをセットして漢字の続きをする。
・タイマーが鳴ったら、また計算を5問解く。
のように、漢字と計算を交互にする方法もあります。
一見、集中しにくそうに感じますが、場面が切り替わる事で、集中力がリセットされ、結果として早く宿題が終わった!ということになります。
他にも、計算20問を5問×4に分けて、それぞれ何分で解けるか、時間をはかるのも効果的です。
最初の5問よりも、次の5問の方が早く解けるとやる気アップにも繋がります。
周りの人の関わり方で、子どもはどんどん成長する!
ADHDの子どもは、迷惑をかけるつもりがなくても、衝動的な行動をとってしまいます。
そんな特性のため、たくさん怒られて、自信を無くしてしまっている子どもも見てきました。
けれど、まわりの環境や関わりかたで、集中できたり、力を発揮できたりします。
そんな子どもについて知るきっかけになる絵本です。
困り感のある子どもを救う一冊になるかもしれません。
気になった方は、ぜひ、子どもと一緒に読んでみてください。
絵本を通して、子どもと学ぼう!
特別支援学級についての記事はこちら↓